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羽を持った先駆者か、または想像の産物か?

羽のある恐竜の尾が琥珀の中で発見されたのでしょうか?

筆者:カルバン・スミス(
訳者:クリエーション・リサーチ・ジャパン(sozoron.org

「琥珀の中に封じ込められている羽の付いた恐竜の尾が発見された!」

最近、チャットルームやニュースフィード、ネット上に掲載されたある記事が、進化論者(そして創造論者も)の間で大騒ぎになっています。その話がこれほどに注目されることになった理由の一つは、おそらく有名な映画シリーズ「ジュラシックパーク」と明らかに似通っている点があるからだと考えられます。恐竜と柔組織、それに琥珀の組み合せ、そしてそこに羽の封じ込めという特別なひねりを加えるなら、確実に人々の注目を集めることができるのです。

Photograph by R.C. McKellar, Royal Saskatchewan Museummyanmars-amber-mines-dinosaurs-tail-preserved-amber
写真1:琥珀に封じ込められた尾(そして昆虫と破片)。羽が見えるという点には同意できます。けれども、これは羽のある恐竜の存在を証明する決定的な証拠とは言えません。

私がこの話を最初に目にしたのは、私達が開催した若者のためのキリスト教弁証学初心者訓練キャンプに参加したCMI支持者のフェイスブックを通してでした。恐竜の羽付きの尾が発見されたので、「聖書が間違っていることが証明された」と彼女の無神論者の友人が言っていると、コメントしていました。

どうしてそのような結論に至ったのでしょうか。それは多くの進化論者が恐竜は鳥に進化したこと(そして、付随する問題点に関しては大抵うまく取り繕われています)、そしてその過程のどこかで、当然、羽を進化させてきたに違いないと主張しているからです。もし羽のついた恐竜の一部を本当に発見したのなら、それを自分たちの提唱している仮説を支持する強力な証拠であると解釈するのです。

これは大ごとなのでしょうか?

このことに関して、CMIには多くの問い合わせが寄せられました。最初に皆さんに覚えておいていただきたいのは、恐竜に羽や毛皮がなかったと聖書には語られていないということを、CMIは長年にわたり語り続けてきたということです。これまでに収集されてきた恐竜の化石の大半は骨だけであったために、単に分からないだけなのです。しかしながら、控えめに言っても、発見された柔組織、痕跡、残骸だけでは、このトピックスに関しては決定的なものではないということは、これまでにも述べてきました。この新しい発見が仮に本当に恐竜の羽のある尾であったとしても、そのことが、聖書的な創造モデルにとって脅威となるようなことは一切ありません。

恐竜は、現代の生き物に比べると、多くの面において生理学的に独特な存在であったということに関しては、進化論者も創造論を信じている科学者も同意しています(そのことが恐竜の絶滅につながったのかもしれません)。そのため、現存の生き物の中に見られる特徴がモザイク状に組み合わされて、現われたのかもしれません。それを実際に観察して、確認することはできないために、発見された残骸の解釈に頼らざるを得ないのです。

事実と発見された経緯

“Current Biology” という学術雑誌に掲載された元の論文に1、DIP-V-15103 の解説がされています。DIP-V-15103 とは、古生物学者のリダ・シン博士が、琥珀に封じ込められた長さ3.6センチ(1.4インチ)の羽付き尾につけた記号表記です。それには肉眼で見える、柔組織で覆われた小さな 2 つの椎骨があります。尾は曲がっていて、背側と側面に二列の羽が並んでいます。ミャンマー(かつてのビルマ)北部カチン州の琥珀市場で購入されました。シン博士はそれを元々あった場所で発見したわけではありませんでした。それにも関わらず、これを「白亜紀中期」のものであり、9900万年前のものであると認定したのです。

どのようなことが示唆されているのでしょうか?

元の論文では、この尾の性質について、下記のように、分からないことが沢山あると認めています。

DIP-V-15103 に行われた SR(シンクロトロン放射)X 線の μ CT スキャンによって、柔組織の密度が部分的に置換した骨格要素の密度との違いが不十分なため、レントゲン画像化や骨学的に(骨の構造)の仮想的解剖を行えないことが明らかにされました。その結果、多くの特徴的かつ相対的な骨学の詳細が不明瞭なままになってしまっています。1

観察しているものの内側を覗くことができないため、研究者達は観察可能なものに基づいて、いくつかの推定(外挿)を行いました。たとえば、観察することが可能だった2つの椎骨の大きさから、下記のようにその化石には8個の椎骨と9個目の一部があると推定したのです。

けれども腹側にはっきりと見えるのは2つの椎骨(だけ)です。これらの椎骨の長さから推定して、保存されていた尾の部分には最低でも8個の完全な椎骨、そして9個目の一部があったはずです。1

椎骨は底面の溝以外には、通常あるはずの突起もなく、あまり特徴のないものです。特徴がないことから、その標本は尾の中間から先端部分のものであり、最低でも15個、そしておそらくは25個以上の椎骨があったかもしれないと彼らは言っています。そのサイズの小ささのため、幼獣であったと主張しているのです。

彼らはどうしてこれが恐竜だと思うのでしょうか?

彼らは、この尾はティラノサウルスとヴェロキラプトルを含むグループである「非鳥類系(鳥ではない)コエルロサウルス類」に属していたという結論に達しました。誰もが明らかに疑問に思うのは−特にこれが羽のついた雀くらいの大きさの生き物であったように思われるため−どうしてこれが鳥ではなく、恐竜であったという結論になったのだろうかというものです。

研究者達は、下記のような2つの主要な証拠を挙げています。一つ目は、融合脊柱ではなく柔軟性のあるものであったという点(現存している鳥には骨のある長い尾を持ったものはいないため、尾の柔軟性は重要です)、そして2つ目は、獣脚類の恐竜によく見られる底面に溝のある椎骨です。

標本に関節接合の尾椎が存在していることによって、研究者達はこの羽が有史以前の鳥のものであるという可能性を排除することができました。現在の鳥とそれに最も近い白亜紀の先祖の鳥は、尾の羽が単一ユニットとして動くことを可能とする尾端骨と呼ばれる融合尾椎を備えています。1

この主張は、羽毛恐竜の存在を明確に支持しているのでしょうか?

前述の主張はいずれも、決定的なものではありません。第一に、現代の鳥でさえ、大抵その尾に5–9個2の非融合尾椎があります(先端の尾端骨を除いて)。そのため彼らが想定した標本の尾椎の数が正しかったと仮定しても、それが「近代」の鳥の尾であるという考えは納得のいくものではなく、ただの可能性でしかありません。

第二に、元の論文自体に、どうしてこれが本当の鳥であると考えられるのかを説明した情報が含まれていました。たとえば、尾の(推定)8個の尾椎部分は、おそらく25個以上の椎骨からなる尾の中間部分辺りからのものと考えられると研究者達は述べています。けれどもわかっている限りの絶滅した本物の鳥(始祖鳥やイェホロルニス)は、中間部分ではなく先端部でのみ融合する長い尾を持っており、発見されたものはそれであるかもしれないと、彼らは認めています。

また、標本の写真では「屈曲」部分は、実際には滑らかに曲がっているのではなく、120度ほどの角度にねじれているように見えました。そのことから、融合していないということではなく、これは尾に柔軟性がなく、ただ単に傷が付いたか、壊れてしまったという問題だとも考えられます。そのためこの標本は、進化論者が20個の尾椎と羽がある本物の鳥であったと認めている始祖鳥、またはイェホロルニスの尾の先端部分辺りからのものであったかもしれません。1

始祖鳥は20個から23個の尾椎を最初から持っていました。中国の九仏堂累層で発見され、およそ1億2000万年前のものとされている二番目に最も基本的な鳥とされているイエホロルニスも長い尾を持っており、始祖鳥とほぼ同一の22個の尾椎を持っていました。

「腹側溝」に関する主張については?

標本の尾の中心部に独特の腹側溝があります。それは非鳥類型の獣脚類には広く見られるものですが、鳥類型においてはまだ発見されたことがありません(しかしながら始祖鳥とイエホロルニスという既知の2つの鳥にそれが存在している可能性を排除することはできません)[太字は補足]。1

結果的に、標本に関して形態学的に不明瞭であることと、羽のすべての特徴を既知の鳥が備えているという事実を踏まえてみると、この発見においては何一つとして「恐竜」だけを指し示している特徴はありません。進化論者の多くにとって、羽のある恐竜は信仰の対象とも言える存在であり、スミソニアン進化論古鳥類学者である Storrs Olson 氏がアーカエオラプトルの贋作騒動で指摘しているように、先入観に囚われた解釈に至ってしまう可能性があります。3

作り話?

考慮するべき価値のある可能性があと1つあります。この発見は科学者によって発掘されたものではなく、琥珀市場で購入されたものであったために、進化論の作り話(アーカエオラプトルのような羽毛恐竜の贋作騒動)の可能性については、常に気をつけておかなければなりません。琥珀の中に偽造品を入れ込むという商売が広く行われていることは、科学者の間でも認識されており、そのためどのような発見物もその信憑性を注意深く検証することが不可欠です。

琥珀に入っている化石は、一般的に非常に小さなものであるため、もしそれが 2 cm 以上の大きさのものであれば、疑わしいということになります。より大きく、より強い生 き物であれば、粘着性のある樹脂から、大抵の場合より簡単に抜け出すことができるからです。さらに、小さなトカゲやカエルといったものの椎骨が琥珀の中で見つかることは大変稀なことであるため、そのようなものが入っていた場合、特に注意しなければならず、また一般市場で販売されている標本は、ほとんどすべて偽造品であるという事実を認識しておかなければなりません。4

この標本は(宝飾品として使用される大半の琥珀と同じように)、議論の流れを何とかして決定づけるために、手が加えられました。ナショナルジオグラフィックで次のように指摘されています:

ビルマの琥珀の大多数は宝飾品や彫刻のために使用されています。そして研究者によって収集されるまでに、 すでに成形されていました。・・・ミャンマーの鉱山から採掘された琥珀は、宝飾品の製作者によって、すでに部分的に長円形に成形されていました。5

破壊的なサンプリングや化学的分析によって、琥珀の起源を検証することはできないことを研究者は認識しています。その代わりに「昆虫封じ込めと保存状態を観察し、UV 光を使って独特の蛍光色を検知して、人工的に標本に手が加えられた形跡の検証」を行いました。6

それにもかかわらず、この分野では指導的な立場にある著者は、琥珀で有名なミャンマーの琥珀採掘者から標本を購入しました。その琥珀を検査したところ、その地域で発見された他の標本と一致しているように思われるという結果でした。さらに三大陸からの古生物学者がそれを調べ、その研究結果は査読済みの論文として出版されました。これはアーカエオラプトルの贋作騒動の時の状況とは異なっています。

これが本物だと確信することはできませんが、現在の証拠の状態を考慮すると、それに対する反証が出てこない限り、偽造の封じ込めがあった、または手を加えられたと想定するべきではないでしょう。

これは進化論を証明するものなのでしょうか?

これは多くの人々によって進化論を証明するものであると考えられていますが、実際には、その考えを推し進めるためにはかなり弱いものです。進化論者は、飛翔可能な鳥であった始祖鳥は1億5000万年ほど前に存在していたと主張しています。そしてシン博士たちが述べたのは、1億2000万年前に生存していた(七面鳥ほどの大きさの)イエホロルニスは、おそらく「アーチー」よりもよく飛ぶ鳥であったと見なしています。さらに、これまで私達は何度も指摘してきましたが、からす程の大きさで、くちばしがあり、飛翔可能な鳥であるコンフシウソルニスは1億2000万年から1億2500万年前という「年代設定」がされています。今回の発見は、9900万年前というそれよりも何千万年も新しい年代設定になっています。

そのため、進化論者自身の年代設定によって、この生き物(それが何であれ)が存在する5000万年前に飛翔可能な羽がすでに現れており、そしてくちばしのある鳥が2000万年前に存在していたのであれば、そうすれば、この琥珀に閉じ込められた尾は、それ以前に存在していないものが新しく現れたということとは全く関係がないということになります。これこそが進化論が証明しなければならないことなのです

要約

それでは、これは羽毛恐竜だったのでしょうか、それともただ鳥の尾だったのでしょうか?確かなことは分かりませんが、過度に騒ぎ立てる進化論的な結論を引き出すことに対しては、いつもながら、懐疑的であるべきです。神様が恐竜の中のあるものを、羽毛を持つものとして創造されたのなら、それはそれでよいでしょう。けれども確かな証拠が発見されるまでは、それは証明された真実ではなく、概念のままに留まるのです。

参照文献と注釈

  1. Xing, L.D. et al., A feathered dinosaur tail with primitive plumage trapped in Mid-Cretaceous amber, Curr. Biol. 26(24):3352–3360, 19 December 2016 | doi:10.1016/j.cub.2016.10.008. 本文に戻る
  2. Felice, R.N. and O’Connor, P.M., Ecology and caudal skeletal morphology in birds: the convergent evolution of pygostyle shape in underwater foraging taxa, PLoS One 9(2):e89737, 26 February 2014 | doi: 10.1371/journal.pone.0089737. 本文に戻る
  3. In fact Xing’s admission that “he knew he had something special” without having examined the specimen in detail or even being able to verify its origin smacks of evolutionary bias from the get-go. 本文に戻る
  4. Eriksson, M.E. and Poinar Jr., G.O., Fake it till you make it—the uncanny art of forging amber, Geol. Today 31(1):21–27, 2015. 本文に戻る
  5. Romey, K., First dinosaur tail found preserved in amber, National Geographic, 8 December 2016; news.nationalgeographic.com. 本文に戻る
  6. Xing et al., ref. 1, Supplemental Experimental Procedures, in section “Rationale for analytical methods”. 本文に戻る

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